株式会社ファームシップ（本社：東京都中央区 代表取締役 北島正裕・安田瑞希 以下「当社」）と国立大学法人豊橋技術科学大学（所在地：愛知県豊橋市 学長 大西隆／共同研究者 情報・知能工学系 後藤仁志 准教授）が共同で開発した「野菜の市場価格をAIで予測するためのアルゴリズム」がImpress DX Awards：プロジェクト部門（ベンチャー）のグランプリを受賞しました。

Impress DX Awards　：https://dx-awards.impress.co.jp/　
　　　　　　　　　　 　　https://www.impress.co.jp/newsrelease/2020/03/20200330-01.html
　　　　　　　　　　　 　　https://dcross.impress.co.jp/docs/news/001323.html

＜１．開発の概要＞
植物工場は天候に左右されず野菜を生産でき、露地栽培に比べて狭い耕地での生産が可能なことから、その生産量は近年著しく伸びています。しかし、植物工場の野菜需要は、露地野菜の供給量の変動に大きく左右されます。生産した野菜の廃棄や販売機会の損失が生じ、効率的な生産が可能という特徴を生かせていないという課題がありました。我々は、予め野菜の市場価格を予測し、これに応じて生産や出荷を調整することで、ロス低減を目指しています。開発したアルゴリズムは、過去の市場価格や天候などのビッグデータを、AIが機械学習し解析することで、1、2カ月先のレタスの市場価格を高精度に予測する仕組みとなっています。

＜２．Impress DX Awardsの受賞について＞
インプレス社が主催する「Impress DX Awards」は、少子高齢化に起因する労働人口の減少や医療費の高騰などといった多様化し複雑化するビジネスや社会の課題を、IoTや AI、クラウドといったデジタルテクノロジーによって解決するデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みを表彰するものです。デジタルテクノロジーを使った従来の枠組みにとらわれないアイデアや取り組み、製品／サービスを表彰することで、より良い未来の創造と、産業のさらなる活性化を後押しすることを目的としています。
今回開発した「野菜の市場価格をAIで予測するためのアルゴリズム」は、農業や食品の分野でのDXであることや、大学との共同開発であることが高い評価を得て、プロジェクト部門（ベンチャー）のグランプリを受賞しました。

＜３．研究開発体制＞
本アルゴリズムの開発は、国立研究開法人新エネルギー・産業技術開発機構（NEDO）の推進する「人工知能技術適用によるスマート社会の実現」※１事業の一環として行いました。本事業は、株式会社ファームシップ、国立大学法人東京大学、国立大学法人豊橋技術科学大学、パイマテリアルデザイン株式会社の共同で進めています。植物工場等の野菜栽培過程や流通でのビッグデータ収集、これらのデータと人工知能（AI）を活用した需給マッチング、これに基づく栽培物の成長制御や物流など各プロセスの最適化により、バリューチェーン※2全体を効率化し、植物工場における野菜の廃棄や販売機会の損失の削減を目指しています。この中で、野菜生産現場に、需要予測をフィードバックするために、本アルゴリズムを開発しました。

＜４．市場価格予測配信サービス＞
大田市場のレタス卸売価格予測の配信希望者には、メール配信を行っております。
株式会社ファームシップのサイトでユーザー登録すると、前月の平均価格公開後、当月と翌月の配信が受けられます。本サービスはNEDOプロジェクト遂行中、無償公開しております。４月からリニューアルして公開を継続いたします。
サービスサイトURL：https://predictionofvegetableprice.farmship.co.jp/　

＜５．今後の予定＞
当社は、本アルゴリズムを有効活用するとともに、「AIによる植物工場等バリューチェーン効率化システム」の研究開発を進め、栽培物の成長制御や物流など各プロセスの最適化と組み合わせて、バリューチェーン全体の効率化を目指します。

＜用語説明＞
※1　人工知能技術適用によるスマート社会の実現
事 業 名：人工知能技術適用によるスマート社会の実現／生産性分野／AIによる植物工
場等バリューチェーン効率化システムの研究開発」
事業期間：2018年度～2020年度
※2　バリューチェーン
野菜の栽培・出荷・物流・販売・消費といった各プロセスからなる、モノの流れ全体を
意味します。