プレスリリース

2025.04.25

NEDO※1脱炭素省エネプログラム※2における「革新的省エネ植物工場技術の開発」 中間評価を経て2年間の事業継続が決定 — 開発加速フェーズへ

 株式会社ファームシップ(本社:東京都中央区、代表取締役:三上祐志郎、以下「ファームシップ」)および国立大学法人豊橋技術科学大学(所在地:愛知県豊橋市、学長:若原昭浩/共同研究者:機械工学系 高山弘太郎 教授、以下「豊橋技科大」)は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が推進する「脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム」において、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(以下「農研機構」)および株式会社RYODEN(以下「RYODEN」)と共同研究体制を構築し、「革新的省エネ植物工場技術の開発」に取り組んでまいりました。このたび、NEDOによる中間評価を経て、本プロジェクトの今後2年間の事業継続が正式に決定されました。植物工場のさらなる省エネルギー化と社会実装に向け、開発の加速と技術の実証に取り組んでまいります。
 
1.概要
 
 ファームシップと豊橋技科大は、NEDOに2022年度採択された、「脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム」事業として、研究開発を推進してまいりました。本プロジェクトは、農研機構、RYODENも加えた4者での共同研究として実施しています。
 本プロジェクトでは、次世代型植物工場を対象に、IoTによるリアルタイムな環境モニタリングや、AIによる生育・エネルギーの最適制御など、革新的な省エネルギー技術の開発を進めてまいりました。これまでに、照明、空調、栽培制御といった各領域で省エネルギー効果を実証し、プロジェクト全体として「36%以上のエネルギー削減」という高い目標の実現可能性を見出しました。
 これらの成果により、NEDOの中間評価において本プロジェクトの今後2年間の継続が正式に決定されました。今後はこれまでの成果を踏まえ、より実用性の高い革新型省エネ植物工場設備の設計・構築を進め、目標の36%以上の省エネルギー効果を実証してまいります。
 
2.これまでの技術開発概要と今後の開発
 
 ファームシップと豊橋技科大は、省エネルギーと高効率を両立する次世代型植物工場モデルの構築を目指し、各共同研究機関と連携のもと、エネルギー最適制御技術の開発を推進してまいりました。中間目標として掲げていた「電力消費20%以上削減」の達成を確認し、さらに一歩進んだ電力削減の可能性を実証しました。
 まず、IoTを活用した環境・生育の立体センシング技術においては、栽培棚をコンパクトなセル単位に分割し、局所的に環境制御を行う「セル栽培」のアーキテクチャを設計・導入しました。これにより、不要な空間へのエネルギー供給を抑制し、セル内の栽培物を立体的にセンシングすることが可能となりました。実証の結果、最大で40%の電力削減が可能であることを確認しています。セル単位での制御は、温湿度・CO₂・照度などのパラメータを精密に管理できるだけでなく、作業自動化との連携により人件費の削減や品質の安定化にも貢献します。
 さらに、従来型の植物工場の栽培棚にも適用可能な技術として、光合成量を高精度に測定できる専用チャンバを試作。栽培試験を通じて、その原理の有効性を確認しました。これにより、生育の見える化が実現し、既存の植物工場栽培における環境制御の最適化も可能となります。
 また、IoTを活用した高制御性・高効率な栽培技術として、空調負荷を低減する風の循環設計や、作物ごとの最適環境に基づいたきめ細かな栽培制御を実装。作物によっては30%前後の省エネ効果が得られることを確認しています。従来の一括管理方式と比べて圧倒的に柔軟な制御が可能となり、多品種・少量生産にも対応できる技術基盤を構築しました。
 さらに、AIによるエネルギー需要および生育の予測モデルも構築。過去の環境データと栽培実績に基づき、照明・空調などの負荷を事前に高精度で予測することで、3〜6%の運用ロスを削減する効果を確認しました。これにより、エネルギー制御と収量予測を一体化した高度な管理が可能となりました。
 これら3つの技術を組み合わせることで、電力消費を総合的に30%以上削減できる可能性を確認。部分的な最適化にとどまらず、植物工場全体をシステムとして統合的に最適化することで、従来技術を大きく上回る省エネルギー性能を実現しています。

 今後もファームシップと豊橋技科大は、農研機構、RYODENとの連携をさらに深めながら、革新型植物工場の社会実装に向けた取り組みを加速させていきます。リアルタイム環境モニタリングやAI制御技術のさらなる高度化を通じて、持続可能でエネルギー効率の高い次世代農業の実現を目指してまいります。

【注釈】
※1 NEDO
   :国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構

※2 脱炭素省エネプログラム
   :脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム
    https://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP_100197.html
 
 

お問い合わせ先

本件に関する取材・インタビュー、御問い合わせは下記までお願い申し上げます。

株式会社ファームシップ
広報担当:松本
E-mail: info@farmship.co.jp
TEL:03-5829-9601
Website: http://farmship.co.jp

国立大学法人豊橋技術科学大学
広報担当:高柳・太田
TEL:0532-44-6506

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